以前どこかのコミックスのあとがきに書いた気がしますが、絶版になってますのでここに。

遙か昔の20世紀。

私は某少女漫画雑誌でデビューしました。

デビュー作に何通か読者のかたからお手紙をいただき、そのうちの一通が印象に残りました。

それは、心臓が右にある少女からのものでした。

10代で書くファンレターって何書いていいかわからなくて、自分語り入っちゃうじゃないですか。私も身に覚えがあります。

差出人の彼女はちょっと悩んではいるものの、健康には差し支えないように思えました。

私は、新人の作品への感想のお礼と、少しの励ましを添えて返事を出しました。

それほど間をおかず、また編集部宛に彼女から手紙が来ました。嬉しかった。


それから10数年ほどして、高校時代の後輩がアシスタントに来てくれることになりました。雑談するうちにその「初めて頂いたお手紙」の話に。

「あ、先輩それ私ですよ。心臓が右にあるって書いたでしょ」

「え!」

「名前も住所もデタラメですよ~」
(ちなみに彼女の心臓は左にあります。 少し毛は生えてます)

「なんだよ~そうなのか~」


…え、ちょっと待て。

「私返事書いて、それにまた返事来たよ?」

「えー私知りませんよ?だいたい住所実在しないし」


私は、頂いたお手紙は全部とってある。

今部屋を片付けてる最中なので、いずれその「初めて頂いたお手紙と2通目」が発掘される、はず。

…消えていなければ。
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