●スキャナを持たない友人が悩んでいたこと
漫画を描く時、フルデジタルではなくアナログでペン入れした原稿をスキャンしてデジタルで仕上げする人も少なからずいると思います。私もそうです。
通常、モノクロ原稿をデジタルで仕上げする場合は原稿用紙をスキャナで解像度600〜1200dpiのグレースケールモードで取り込み、PCの中で「レベル補正」をおこなってゴミを飛ばし、線の濃さや太さを調整してから仕上げに入ります。
ところが、このスキャン。
自宅のスキャナを使えれば問題ないんですが、出先だったり、そもそもスキャナを持ってなかったりというかたも多いでしょう。
友人は原稿をB4で描き慣れているのに持っているスキャナがA4サイズまでだったので、それならばA3まで使えるコンビニの機械で取り込んでみよう…と思い立ちました。
ところが、持ち帰ったデータの線画をクリンナップしようとしても出来ないとのこと。
それで見せて貰ったデータから考え出したクリンナップ方法が以下の記事です。
●コンビニスキャナの仕様
2017現在、コンビニのスキャナでいちばん解像度が高いのがセブンイレブンです。
しかし画像のスキャンタイプは以下の2種類だけ。
①200,300,400,600dpiのモノクロ二値モード (TIFF)
②200,300,400dpiのカラーモード (JPG)
印刷物でも解像度300〜350dpiで仕上げるカラーイラストの主線や、薄墨っぽくグレーで処理する白黒原稿ならばカラーモードの300〜400dpiでスキャンすれば問題ありません。
しかしCLIP STUDIOやComicStudioなどで処理するためには600dpiが必要。ということで友人はペン入れ原稿をモノクロでスキャンしてデータを持ち帰りました。
それが使えないと言う。
理屈では①で、CLIP STUDIOやComicStudioで処理する主線原稿は取り込めるはずです。
でも現実に取り込んだ主線データ見せて貰ったところ…確かに困った。
コンビニのスキャナは漫画に特化した調整をされてるわけではないので、白黒写真などを取り込むためかグレーも拾うようになっているようなのです(図)。

左から①のコンビニのモノクロ二値600dpi、②のカラー400dpi、一番右は私の自宅のスキャナ利用の、コンビニのスキャナには無い、理想的なグレースケール600dpiです。(※自宅スキャナで再現したので①はディザになっていますがアミ分解かもしれません)
このテスト原稿はごく小さい紙(2.5㎝角)にペンとインクで描き、青鉛筆の罫線と、右半分はわざと黒い鉛筆下描きを消し残しました。紙の地色も拾ってみました。
実際の友人の原稿はもっと大きな物なので、完全になめらかなグレースケールの画像に見えました。
しかし、部分を拡大するとこうなります↓

一見一番左もグレーに見えますが、よく見ると黒と白のドットで構成されています。
まずPhotoshopで一番右、自宅スキャンの600dpi PSD(グレースケール)を通常のように調整してみます。※PhotoshopのVerはCS5です

↑レベル補正を表示するとこんな感じ。これを地色やゴミを飛ばし、お好みの線に。

こんな感じ。
今度は一番左の600dpi TIFF(モノクロ二値)を調整してみましょう。
二値のままではレベル補正出来ないので、画像モードをグレースケールに変換し、レベル補正を開きます。
しかし…

ドットは既に白と黒しか無いので、スライダをいじっても何の変化も起きません。
友人が困っていたのはここでした。
●というわけで苦肉の策
で、思いついたのがチカラワザ。
まずこの画像にフィルタでガウスぼかしをかけます。


点々が気にならない程度まで。

全体像はこんな感じ。
これを改めてレベル補正するわけです。

今度はスライダの強弱が表示されました。

お好みで調整…

このくらいでしょうか。

先ほどの自宅スキャンのものと比べてみました。線の太り加減はそれぞれ微調整で変わりますよ。
ちなみに同人誌原稿用紙(B5)にこの画像を置くとこのくらいの大きさです↓

元がB4のアナログ原稿で、WEB発表やA5サイズの印刷ならばあまり気にならないと思うのですが、如何でしょう?
ぼかした直後のこの状態↓でComicStudioなどに直接画像取り込みしても簡単。


閾値の調整でゴミや地色は飛んでしまいます。
ぼかす前の状態をグレースケールモードで取り込んで、ぼかしからComicStudioの中でやっても大丈夫。
●カラー取り込みした主線で調整してみる
400dpi JPEG(カラー)でスキャンした主線からも試しに作ってみます。
400dpiというのはモノクロ原稿には少々解像度が足りず、納品のためには600dpiに高めますが、もとの解像度が低いので線の精度は多少犠牲になります。
Photoshopでグレースケールに変換すれば、上のグレースケールの場合と作業は同じなのでそれは割愛。
以下は600dpiのComicStudio原稿用紙に直接取り込むパターンです。
CLIP STUDIOでもさほど変わりない手順だと思います。

ComicStudioの画像読み込みで読み込む。

表現色を黒白(2bit)か黒(1bit)にして、閾値を調整して青線・消し残し・地色などを飛ばす。

完了。消せなかったゴミや余分な線は手作業ででも微調整。
●結果の比較画像
3つのスキャンパターンで取り込んだアナログ主線を、上記の方法でモノクロ二値原稿用にした結果です。
これはごく小さな画像でしかも私のタッチは荒いのでわかりにくいかもしれませんが、元がしっかりした描線の人なら そこそこ使える方法ではないかなと。
A3対応のスキャナは安い物ではないので、ご参考になれば幸いです。

漫画を描く時、フルデジタルではなくアナログでペン入れした原稿をスキャンしてデジタルで仕上げする人も少なからずいると思います。私もそうです。
通常、モノクロ原稿をデジタルで仕上げする場合は原稿用紙をスキャナで解像度600〜1200dpiのグレースケールモードで取り込み、PCの中で「レベル補正」をおこなってゴミを飛ばし、線の濃さや太さを調整してから仕上げに入ります。
ところが、このスキャン。
自宅のスキャナを使えれば問題ないんですが、出先だったり、そもそもスキャナを持ってなかったりというかたも多いでしょう。
友人は原稿をB4で描き慣れているのに持っているスキャナがA4サイズまでだったので、それならばA3まで使えるコンビニの機械で取り込んでみよう…と思い立ちました。
ところが、持ち帰ったデータの線画をクリンナップしようとしても出来ないとのこと。
それで見せて貰ったデータから考え出したクリンナップ方法が以下の記事です。
●コンビニスキャナの仕様
2017現在、コンビニのスキャナでいちばん解像度が高いのがセブンイレブンです。
しかし画像のスキャンタイプは以下の2種類だけ。
①200,300,400,600dpiのモノクロ二値モード (TIFF)
②200,300,400dpiのカラーモード (JPG)
印刷物でも解像度300〜350dpiで仕上げるカラーイラストの主線や、薄墨っぽくグレーで処理する白黒原稿ならばカラーモードの300〜400dpiでスキャンすれば問題ありません。
しかしCLIP STUDIOやComicStudioなどで処理するためには600dpiが必要。ということで友人はペン入れ原稿をモノクロでスキャンしてデータを持ち帰りました。
それが使えないと言う。
理屈では①で、CLIP STUDIOやComicStudioで処理する主線原稿は取り込めるはずです。
でも現実に取り込んだ主線データ見せて貰ったところ…確かに困った。
コンビニのスキャナは漫画に特化した調整をされてるわけではないので、白黒写真などを取り込むためかグレーも拾うようになっているようなのです(図)。

左から①のコンビニのモノクロ二値600dpi、②のカラー400dpi、一番右は私の自宅のスキャナ利用の、コンビニのスキャナには無い、理想的なグレースケール600dpiです。(※自宅スキャナで再現したので①はディザになっていますがアミ分解かもしれません)
このテスト原稿はごく小さい紙(2.5㎝角)にペンとインクで描き、青鉛筆の罫線と、右半分はわざと黒い鉛筆下描きを消し残しました。紙の地色も拾ってみました。
実際の友人の原稿はもっと大きな物なので、完全になめらかなグレースケールの画像に見えました。
しかし、部分を拡大するとこうなります↓

一見一番左もグレーに見えますが、よく見ると黒と白のドットで構成されています。
まずPhotoshopで一番右、自宅スキャンの600dpi PSD(グレースケール)を通常のように調整してみます。※PhotoshopのVerはCS5です

↑レベル補正を表示するとこんな感じ。これを地色やゴミを飛ばし、お好みの線に。

こんな感じ。
今度は一番左の600dpi TIFF(モノクロ二値)を調整してみましょう。
二値のままではレベル補正出来ないので、画像モードをグレースケールに変換し、レベル補正を開きます。
しかし…

ドットは既に白と黒しか無いので、スライダをいじっても何の変化も起きません。
友人が困っていたのはここでした。
●というわけで苦肉の策
で、思いついたのがチカラワザ。
まずこの画像にフィルタでガウスぼかしをかけます。


点々が気にならない程度まで。

全体像はこんな感じ。
これを改めてレベル補正するわけです。

今度はスライダの強弱が表示されました。

お好みで調整…

このくらいでしょうか。

先ほどの自宅スキャンのものと比べてみました。線の太り加減はそれぞれ微調整で変わりますよ。
ちなみに同人誌原稿用紙(B5)にこの画像を置くとこのくらいの大きさです↓

元がB4のアナログ原稿で、WEB発表やA5サイズの印刷ならばあまり気にならないと思うのですが、如何でしょう?
ぼかした直後のこの状態↓でComicStudioなどに直接画像取り込みしても簡単。


閾値の調整でゴミや地色は飛んでしまいます。
ぼかす前の状態をグレースケールモードで取り込んで、ぼかしからComicStudioの中でやっても大丈夫。
●カラー取り込みした主線で調整してみる
400dpi JPEG(カラー)でスキャンした主線からも試しに作ってみます。
400dpiというのはモノクロ原稿には少々解像度が足りず、納品のためには600dpiに高めますが、もとの解像度が低いので線の精度は多少犠牲になります。
Photoshopでグレースケールに変換すれば、上のグレースケールの場合と作業は同じなのでそれは割愛。
以下は600dpiのComicStudio原稿用紙に直接取り込むパターンです。
CLIP STUDIOでもさほど変わりない手順だと思います。

ComicStudioの画像読み込みで読み込む。

表現色を黒白(2bit)か黒(1bit)にして、閾値を調整して青線・消し残し・地色などを飛ばす。

完了。消せなかったゴミや余分な線は手作業ででも微調整。
●結果の比較画像
3つのスキャンパターンで取り込んだアナログ主線を、上記の方法でモノクロ二値原稿用にした結果です。
これはごく小さな画像でしかも私のタッチは荒いのでわかりにくいかもしれませんが、元がしっかりした描線の人なら そこそこ使える方法ではないかなと。
A3対応のスキャナは安い物ではないので、ご参考になれば幸いです。

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